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Profile

高橋 誠人
マイナビ編集長
2002年に入社後、キャリアサポーターとして10年間、学生向けの広報業務に従事。関西圏の大学・短大・専門学校で就活支援講座を開催し、学生の就職活動をサポートする。その後は企業の採用コンサルティングに携わり、熊本支社長や鹿児島支社長、兵庫支社長を歴任。2018年7月より現職。日本キャリア開発協会会員(CDA)。二児の父。

子どもの就職活動について相談できる相手がなかなか見つからず、自分がどのように子どもと向き合ったら良いか迷っています。まず何から始めるべきでしょうか?

お子さまの就職活動に対して関心を持っている保護者の方は多くいらっしゃいます。まずは、保護者のみなさま自身が就職活動に関する最新情報や、他の保護者のみなさまの状況を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
みなさまこんにちは。マイナビ編集長の高橋です。
マイナビは2025年2月に『2024年度 就職活動に対する保護者の意識調査』を発表しました。この調査は年に一度、この時期に結果を発表しています。今回は、この調査結果をもとに、全国の就職活動生を持つ保護者のみなさまが、どのような意識を持っているか解説いたします。
子どもの就職活動に「関心がある」保護者は70%と高い
お子さまの就職活動に対する保護者の関心の度合いについては、「関心があった(高い関心があった+関心があった)」が全体で70%となり、前年同様7割台と高い関心度となりました。
世帯状況別にみると、「関心があった」が最も高かったのは「単親・同居」世帯(75.6%)で、次いで「共働き・非同居」(73.2%)、「共働き・同居」(71.8%)、「片働き・非同居」(70.6%)、などになりました。世帯状況が異なっていても、引き続き関心度が高いことがうかがえます。
子どもの就職活動に「不安を感じる」保護者は約60%
お子さまの就職活動に対して「不安になったことがある」と回答した割合は56.9%(前年比0.9pt増)となり、前年までの直近3年間は減少傾向でしたが、 微増に転じました。
不安になったことがあると回答した保護者に対してその理由を聞いたところ、「子どもの就職活動の進捗状況が把握できない」(42.7%)で最多でした。また、21年度では21.2%あった「新型コロナウイルスにより子どもの志望業界・企業に悪影響が出ていないか 」は3.9%まで下がり、コロナ禍による社会・経済状況への不安は減少していることがわかります。
なお、その他の不安要因について見てみると、「企業の採用活動やスケジュールがよくわからない 」(23.6% )が増加し、前年大きく増えた「スケジュールが過密で大変ではないか」(10.9%)も前年と同値となるなど、スケジュールに関する不安が増加しています。
前年の調査結果を基にした、保護者だからこその不安や悩みを詳しく解説した記事はこちらです。併せてご覧ください。
「子どもの就活が心配、どう寄り添う?保護者だからこその不安や悩みとは」を読む
保護者と子どもの就職活動に対する意識は異なる
保護者が就職活動をしていた当時の風潮として当てはまると思うものを聞いたところ、最も多かったのは「転職は今ほどまだ一般的ではなかった」(47.5%)で、「長時間労働や休日出勤などは当たり前だった 」(43.4%)、「1つの会社に勤めあげキャリアアップを目指すことが当たり前だった」(39.9%)などの回答が多かったです。
一方、お子さまの世代(いわゆる「Z世代」)の特徴について感じることを答えてもらったところ、「1つの会社に勤めあげるというイメージが少ない 」(15.4% )や「長時間労働や休日出勤への抵抗感が強い」(9.8%)などの回答もあり、転職やワークライフバランスなどへの考え方で子ども世代とギャップを感じているようです。
子どもと保護者世代のギャップについて詳しく解説した記事はこちらです。併せてご覧ください。
「子どもが選ぶ企業と保護者世代のギャップとは?適切なサポートのためにできること」を読む
結婚や育児、働き方に対する意識のギャップは大きい
お子さまの働き方、結婚・育児に対する考えとしてあてはまるものを答えてもらったところ、「結婚後は、夫婦で共働きをするほうが良いと思う」という質問に対して「あてはまる」(「非常にあてはまる」と「まああてはまる」の合計)は50.2%となり、前年より1.0pt増加し半数を超えました。
「マイナビ 2026年卒大学生のライフスタイル調査」によれば、「共働きが望ましい」と回答した学生は72.1%と過去最高となっており、お子さまの共働き志向の高さが保護者の考えに影響を与えている可能性があります。あるいは保護者の考えがお子さまの共働き志向を後押ししているといった関係性も考えられます。
「男性も育休を取得し子育てする方が良いと思う」という回答結果では、保護者の男女別で差が見られました。「母親・息子」「母親・娘」はそれぞれ54.8% 、56%であるのに対し、「父親・息子」「父親・娘」はそれぞれ43.6% 、42%と、父親と母親で10pt以上の差がありました。
まずはお子さまの働き方についての意向を確認してみてはいかがでしょうか。
「オヤカク」ご存じですか?
お子さまの内定企業から「内定確認の連絡」いわゆる「オヤカク」を受けたという回答は45.2%となり、そのほか企業から受けた連絡では「内定式・入社式への招待」が17.6%が次いで多く、うちお子さまの内定企業の内定式に「実際に参加した」という保護者は39.2%、入社式に「参加予定」という保護者は41.9%となりました。
お子さまの内定企業から連絡を受けた際に、その企業に対してどのような印象を持ったかを聞いたところ、「良い印象を受けた」という回答は71.2%となりました。
良い印象を受けた理由を聞くと「就職先がどんな会社なのか、どんな商品を扱っているのかを保護者にも資料を送ってくれて丁寧だと思った」や「会社案内の資料に『ご家族にも見てもらってください』とあり、家族にも企業を知ってもらいたいことがわかった」のように保護者向けに資料が送られてきたことに対して良い印象を受けたというものがありました。
「オヤカク」について詳しく解説した記事はこちらです。併せてご覧ください。
「保護者が知っておきたい就職活動ワード「オヤカク」「オヤオリ」」を読む
さいごに
この調査から見えてくるのは、保護者の支援がお子さまの就職活動において重要な役割を果たしているということです。保護者の経験や知識を活かし、お子さまたちが自信を持って就職活動に臨めるよう、今後もお子さまの前に出ることのないサポートをおこなってもよいのではないでしょうか。
さらに、保護者の支援がお子さまたちの精神的な安定にも寄与していることがわかります。就職活動は多くのストレスを伴うため、家族のサポートがあることでお子さまたちは安心して活動に取り組むことができます。
これからも、お子さまと保護者の情報格差をなくし、スムーズなコミュニケーションを取れる状況を提供していきたいと考えています。
マイナビ保護者サポートでは、お子さまのキャリア・就職活動を応援する保護者の皆さまに有益な情報を提供しています。マイナビと併せてぜひご活用ください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。