保護者のためのコラム

大学生になった子どもとの距離感、どう見直す?生活の変化から考える保護者の関わり方

大学生になった子どもとの距離感、どう見直す?生活の変化から考える保護者の関わり方

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吉本 隆男

吉本 隆男

キャリアライター&就活アドバイザー
1960年大阪生まれ。1990年毎日コミュニケーションズ(現:マイナビ)入社。 採用広報ツールの制作を幅広く手がけ、その後、パソコン雑誌、転職情報誌の編集長を務める。2015~2018年まで就職情報サイト「マイナビ」の編集長を務めた後、地域創生をテーマとした高校生向けキャリア教育プログラムの開発に従事。2020年定年退職を機にキャリアライター&就活アドバイザーとして独立。 日本キャリア開発協会会員(CDA)、国家資格キャリアコンサルタント。著書に『保護者に求められる就活支援』(2019年/マイナビ出版)

保護者

子どもが大学に入学してから、生活リズムや交友関係が大きく変わったようで、高校までのように様子が見えなくなってきました。何が変わったのでしょうか。 

解説者

高校までと大学生活では、生活の仕組みそのものが大きく異なります。その違いを正しく理解することが、お子さまとの関わり方を考える第一歩となります。

高校までと大学生活では、時間割の組み方、生活リズム、交友関係の広がり方など、さまざまな点で違いがあります。大学では、卒業に必要な単位や必修科目を踏まえながら、学生自身が履修する授業を選び、時間割を組み立てます。そのため、通学日数や1日の過ごし方も学生によって異なります。この記事では、大学生活の主な変化と、保護者が意識したい関わり方を紹介します。

子どもの「普段」が見えにくくなる、大学生活の仕組みとは

お子さまが大学に入学してから、生活リズムや交友関係が大きく変わったようで、高校までのように様子が見えなくなってきた──そう感じている保護者は少なくないでしょう。連絡をしても返事が遅い、休日の予定も見えにくいといった変化に、戸惑うこともあるかもしれません。大学生活は、時間割を自分で組む「単位制」をはじめ、高校までとは仕組みそのものが大きく異なります。保護者から見えにくくなるのは、お子さまが変わったからではなく、生活の構造が変わった自然な変化でもあります。

毎日通学するとは限らない? 大学生のリアルな通学頻度 

高校までは、月曜から金曜まで毎日学校に通うのが当たり前でした。しかし、大学生になると、その感覚は大きく変わります。マイナビの調査によると、大学1・2年生が前期に大学へ通っていた日数は、週平均で4.7日でした。高校までの「週5日通学」と比べると、大学生は週5日毎日通うとは限りません。

この違いの背景にあるのが、大学での履修の基本となる「単位制」という仕組みです。高校までは、毎日決まった時間割にそって授業を受けていましたが、大学では学生自身が受講する授業を選び、時間割を組み立てます。そのため、曜日によっては授業が1コマもない日や、午前中だけで授業が終わる日もあります。
なお、通学日数や授業外の過ごし方は、学部・学科、学年、資格課程の有無などによって大きく異なります。調査結果は大学生全体の傾向を知る目安としてとらえ、お子さまの状況と単純に比較しすぎないことも大切です。

授業のない時間をどのように使うかを、自分で考える場面が増えることも大学生活の特徴です。この時間をどう過ごすかが、大学生活の充実度や、保護者から見た「様子の見えにくさ」にも関係してきます。次の章では、増えた時間の使い道について、具体的なデータをもとに見ていきます。

 参考・引用:マイナビキャリアリサーチLab 「大学生低学年のキャリア意識調査8月(28・29年卒対象)」

大学生活の時間、何に使う? 広がる課外活動と学びの選択 

大学では、授業以外の時間をどのように過ごすかを、学生自身で考える場面が増えます。お子さまの大学生活について、課外活動と学業の両面から見ていきましょう。

課外活動編(アルバイト・部活動・サークル)

もっとも多くの学生が取り組んでいるのが、アルバイトです。マイナビの「2027年卒 大学生のライフスタイル調査」によると、アルバイトをしている学生の割合は77%にのぼり、1週間あたりの平均時間は13.6時間でした。アルバイトは、収入を得る手段であるだけでなく、社会人と接する機会や、自分で時間とお金を管理する経験にもつながっています。

参考・引用:マイナビキャリアリサーチLab「2027年卒 大学生のライフスタイル調査」

一方で、学生生活の時間の使い方はアルバイトだけにとどまりません。部活動やサークルに所属している学生は約4人に3人です。内訳は、スポーツ系が約26%、それ以外の文化系・芸術系・ボランティア系などの活動が約49%を占めています。高校までの部活動とは異なり、大学のサークル活動は所属も参加の度合いも学生自身の選択に委ねられており、活動を通じて学部や学年、大学内を超えた交友関係が広がっていく点も特徴です。

参考・引用:マイナビキャリアリサーチLab「2027年卒 大学生のライフスタイル調査」

こうした課外活動の延長として、低学年のうちからインターンシップ&キャリアやキャリア形成につながるプログラムに参加する学生も見られます。「就職活動が本格化してから」と考えがちですが、実際には大学生活の早い段階から、将来につながる行動を起こしている学生も少なくありません。

学業編(授業選択・履修)

授業選択・履修は、大学生活のなかでも高校までの仕組みと大きく異なる部分です。多くの高校では、学校が時間割を用意し、生徒はそのとおりに授業を受けていました。大学では、学生一人ひとりが「単位制」のもと、どの授業を履修するかを自分で選び、時間割を組み立てます。

履修する授業を選ぶ際に手がかりとなるのが、各授業の目的や進め方、評価方法などをまとめた「シラバス」です。シラバスを読まずに履修を決めると、想定していた内容と違っていたり、評価方法が自分に合わなかったりすることもあります。また、卒業に必要な単位数や学部ごとに定められた必修科目・選択科目の区分も理解しておく必要があり、高校までとは異なる履修の仕組みに、入学当初は戸惑う学生もいるでしょう。

また、学業面での「見えにくさ」は、成績や先生との関わり方にも表れます。高校までは、担任の教員からのコメントが添えられた成績表を受け取ったり、個人懇談や三者面談を通じて、学習状況や進路について話し合ったりする機会がありました。一方、大学では、高校のような担任との三者面談が一般的とは限らず、成績や履修状況は学生自身がシステム上で確認するケースが多いです。授業を担当する教員や教授との関係も、高校の担任のように日常的に接する存在ではなく、必要なときに学生自身が教員に相談したり、研究室を訪ねたりする機会が増えます。

履修や学業面でのこうした違いを知っておくことは、保護者がお子さまを見守るうえでも役立ちます。大学生活の過ごし方やシラバスの読み方を解説した記事を以下にご紹介します。お子さまと共有する際の参考にしてください。

大学低学年時点で進路が決まっていない学生の実態 

大学での授業や課外活動は、将来の選択肢を考えるきっかけにもなります。一方、入学直後から進みたい道が明確に決まっている学生ばかりではありません。ここからは、大学低学年のキャリア意識を見ていきましょう。
大学に入学した時点で、将来の仕事やキャリアの方向性がはっきり決まっている学生は、決して多数派ではありません。マイナビの「大学生低学年のキャリア意識調査8月(2028・2029年卒対象)」によると、大学低学年の時点でキャリアの方向性が「決まっている」と答えた学生は45.3%にとどまり、半数以上の学生は、まだ具体的な方向性を固めていないのが実情です。

参考・引用:マイナビキャリアリサーチLab「大学生低学年のキャリア意識調査8月(2028・2029年卒対象)」

方向性が決まっている学生についても、その多くは高校時代からキャリアを意識していたケースであり、大学入学後にあらためて考え始める学生や、まだ考えている途中の学生が一定数いることは、自然なことといえます。

大学生活は、授業や課外活動、アルバイトなどを通じて、少しずつ将来の方向性を探っていく期間でもあります。「大学生低学年のキャリア意識調査12月(2028・2029年卒対象)」によると、低学年のうちからインターンシップ&キャリアへ参加する学生も33.0%おり、方向性が定まっていない段階から行動を起こしている学生も少なくありません。「まだ決まっていないから心配」と焦る前に、お子さまが今、どのようなペースで自分の将来と向き合っているかを見守る視点を持つとよいでしょう。

参考・引用:マイナビキャリアリサーチLab「大学生低学年のキャリア意識調査12月(2028・2029年卒対象)」

大学生の子どもとの、ちょうどよい距離感の築き方

お子さまとの関わり方でまず意識したいのは、細かいことまで把握しようとしないことです。高校までのように毎日の予定を確認したり、生活のすべてを管理しようとしたりすると、お子さまは自分で判断して行動する機会が少なくなる可能性があります。一方で、まったく関心を持たずに任せきりにしてしまうと、いざというときに相談しにくい関係になりかねません。日々の細かな管理からは少し距離を置きつつ、困ったときには気軽に頼れる存在でいることが、大学生になったお子さまにとって心強い支えとなります。

具体的には、連絡の頻度や内容にこだわりすぎず、「困ったことがあれば、いつでも話してほしい」という姿勢を伝えておくことが有効です。履修や進路の悩みについても、先回りしてアドバイスするのではなく、お子さまから相談があったときに一緒に考える形が望ましいでしょう。キャリアの方向性が定まっていない学生が珍しくないことは、前章で見たとおりです。焦らせるのではなく、お子さまなりのペースで考えを深めていく過程を見守る姿勢が大切です。

【まとめ】見守る、支える。大学生の子どもとの新しい関係をつくるために 

ここまで、通学日数や時間の使い方、学業や課外活動への向き合い方、そしてキャリアへの意識まで、大学生になったお子さまの生活がどのように変わっていくのかを、データとともに見てきました。高校までとは仕組みそのものが異なるからこそ、保護者から見えにくくなる部分があるのは自然なことです。

とはいえ、お子さまの様子が見えにくくなることに、心配やもどかしさを感じる保護者は少なくないでしょう。連絡が減ったり、これまでのように相談してくれなくなったりすると、時には寂しさや物足りなさを覚えることもあるかもしれません。それでも、こうした変化は、お子さまが自分の生活を自分の力で整えようとしている表れとも考えられます。

大学生になったお子さまにとって、自分で選び、自分で決める経験は、社会に出る前の大切な準備期間でもあります。保護者がすべてを把握し、先回りして手助けするのではなく、お子さまの自主性を尊重し、任せる部分を増やしていくことが、この時期に意識したい関わり方といえるのではないでしょうか。

マイナビ保護者サポートでは、お子さまのキャリア・就職活動を応援する保護者の皆さまに有益な情報を提供しています。マイナビと併せてぜひご活用ください。

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