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「おやごころ」は、子育て経験のある保護者の方々にリアルな体験談を語っていただくインタビュー企画です。今回は社会人として活躍する2人のお子さまを育てたお父さまにインタビュー。大学進学や就職といった人生の大きなターニングポイントに、親としてどう関わり、どのような思いで見守ってきたのかを伺いました。後編では、お子さまの就職活動の様子や、保護者としてどんな形で見守り、サポートしてきたのかなどについて、振り返ってもらいました。
息子は迷った末に総合商社へ、娘は希望通りに看護師に
―高校卒業後、お子さまはどのような進路を選ばれたのですか?
息子は希望通りの大学、学部(理系)に進学しました。大学卒業後は大学院にも進み、研究に励んでいたようです。一人暮らしをしていたので、私が出張に行った際には、よく家に泊めてもらい、一緒に食事をしていました。
娘は大学の看護学部に進学。ちょうどコロナ禍で、思い描いていた大学生活を十分に送ることができず、戸惑うこともあったようです。ただ、オンライン授業を受けたり、実習に行ったりと、忙しく過ごしていたようでした。
―就職活動はどのような様子でしたか?
息子は当初、研究室に残ることも考えていたようです。国家公務員の試験も視野に入れていた時期があり、最初の頃はさまざまな選択肢を検討していたようでした。
―将来のキャリア選択についてサポートやアドバイスはされたのですか?
大したことをしたわけではありませんが、「進路で迷っているんだけど、いつなら相談できる?」と連絡がきて、「教授を目指す道もあるのでは?」と伝えたことはありました。ただ、研究室の教授の働く姿を見て、「自分には合わないな」と思ったらしく、最終的には就職することに決めました。
―どのような道を選ばれたのですか?
資源と流通について考える研究室に所属していたので、その経験を踏まえて就職活動をしていたようです。最終的には、研究の延長線上で流通や経営に関わることができる総合商社に就職しました。
娘は早い段階から看護師になることを決めていたので、さまざまな病院が集まる業界に特化した就職イベントに積極的に参加していました。その一方で、病院実習では毎日落ち込んだり泣いたりすることも多く、大変そうでしたね。特に小児科や内科は、感情移入してしまうぶん、辛かったようです。
結局、娘はICUか外科のいずれかを進路として選びました。その理由は、最新の医療技術に触れることができたり、多くの患者さんと関わることができたりすることから、さまざまな経験や学びを得られると感じたからだそうです。

話を聞く姿勢を大切にし、必要な情報や選択肢を示す
―就職活動について相談されたことはありますか?
仕事柄、さまざまな業界との接点があったので、高校卒業後の進路決定の時よりも、相談されることは多かったです。ただ、基本的には本人たちが自分で考え、決めることを尊重。前のめりにアドバイスするというよりも、ひたすら話を聞く姿勢を大切にし、必要な情報や選択肢を示す程度にとどめ、あくまでサポート役に徹するよう意識していました。そうすることで、「自分の想いを知ってくれている人がいる」「共感してもらえる」という安心感を子どもたちに与えられたかなと思っています。
―相談されたことについて、何かアドバイスをされたことはありますか?
積極的にOB・OG訪問をするよう伝え、「いろいろな人に会って自分に合う会社を選びなさい」と言いました。また、息子が就職活動をしていた頃、私は仕事柄、商社について多少の知識はあったのですがあえて伝えませんでした。私の意見と本人の意見は異なる可能性があるため、私というフィルターを通さず、自分で判断するほうがいいと思ったからです。
―エントリーシートや面接の対策について、何かサポートされたことはありましたか?
息子には、学生時代の研究内容について説明する際は、組織のなかでどのような役割を担ったのかなど、自分の性格が伝わるようなエピソードも盛り込んだほうがいいよと伝えました。また、エントリーシートの添削や模擬面接も手伝いました。
息子は自分が伝えたいことを一気に話してしまうことがあり、それでは相手にうまく伝わらないため、内容を要約して具体的に話すようアドバイスしました。例えば、「1つ目は…、2つ目は…」というように順序立てて整理するのがポイント。言いたいことをただ話すのではなく、相手に理解してもらうことを意識するように、と伝えたことを覚えています。

昔と今で大きく変わった、就職活動と親の関わり
―50代のSさんが学生だった頃と比べて、就職活動のスタイルはずいぶん変わりました。昔と今の就職活動の違いについて、感じることはありますか?
ええ、本当に大きく変わったなと感じますね。私たちの時代は、就職活動そのものがシンプルでした。まずハガキを出して説明会に参加し、書類を郵送して面接を受けるという、基本的に「順番に手続きを進めていく」という流れでした。
今は全然違っており、まずインターンシップから始まります。それに、情報もオープンで企業の情報や評判、社員の声は、WebサイトやSNSなどで簡単に確認できる時代です。
―最近では、企業が保護者向けにオリエンテーションを実施する「オヤオリ」や、保護者に内定同意の確認を取る「オヤカク」といった取り組みもあります。
「オヤオリ」や「オヤカク」については、さまざまな意見があると思いますが、私は肯定も否定もするつもりはありません。なぜなら、それぞれの親子関係によって最適な対応は異なるからです。我が家は本人任せのスタンスでしたが、一方で親がサポートすることで本来の力を発揮できるお子さまもいるでしょう。ですから、それぞれの親子関係にとって最適なサポートをすれば良いのではないでしょうか。

主体性を尊重し、サポート役に徹することが大事
―お子さまが進路やキャリアの大きな局面を迎えたとき、保護者として大切にすべきことは何だと思われますか?
最終的には、本人に決めさせることです。進路選択や就職活動においては、本人の意志を尊重することが何よりも大切だと思っています。どんな業界や会社であっても、必ずしも思い通りに進むとは限りません。
そんなとき、親や周囲の言葉に従って進路を決めてしまうと、「あの人のせいでこうなった」と言い訳をしてしまうこともあるでしょう。けれども、自分で決めたことなら人のせいにはできません。たとえ失敗しても成功しても、その結果に責任を持って向き合うことができます。
―確かに、お子さまの主体性を尊重することは大事ですね。
ええ、その通りです。また、進路やキャリアを選ぶ過程そのものが非常に重要だと思います。自ら考え、悩み、最終的に自分で決断する経験は、社会人になったときに必ず役立つでしょう。親としては、アドバイスや情報提供を通してサポートしますが、最終的な判断は本人に任せることが、保護者の立場として一番の支えになると考えています。
将来の進路選択は、結果だけでなくプロセスそのものが学びの場。その経験こそが、本人の自信や責任感を育み、将来の社会人生活やキャリアの礎になるのではないでしょうか。
―最後に、これから進学や就職を迎えるお子さまを抱えている保護者の方にメッセージをお願いします。
私は、特別なことをする必要はないと思います。親としてできるのは、子どもに選択肢や情報、考えるための材料を与えること。「答え」を押し付けるのではなく、あくまで「ヒント」を提供するイメージですね。最終的な決断は必ず本人に任せ、そっと見守ることが大切です。焦ったり口出ししたくなったりする場面もあるかもしれませんが、自ら考えて行動する経験こそが、子どもの将来の成長につながると思います。

Editor’s Comment

今回は、社会人のお子さまがいるお父さまへのインタビューでした。印象に残ったのは、「口出しをしない」ことが放任ではなく、深い関心と十分な準備に支えられている点です。キャリアの最終判断は子どもに委ねつつも、模擬面接には本気で向き合い、旅行には全力で段取りをする。「子どもにとって最高の夏休みにしよう!」という言葉からは、仕事で忙しいからこそ、限られた時間の中でどれだけお子さまと向き合い、楽しめるかを真剣に考えてこられた様子が伝わってきます。
キャリアの答えを示すのではなく、相談があれば考えるためのヒントを渡し、最終的な判断は本人に委ねる。その姿勢こそが、お子さまが自分の人生に責任を持って歩んでいく力を育てるのだと感じました。
(マイナビ副編集長:谷口)






