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親としては安定した仕事に就いてほしいのですが、私の世代と子どもの世代では就職活動の環境が大きく異なるので、子どもの希望に対してどこまで口出ししてよいかわからず悩んでいます。

お子さまの就職活動や就職先が心配になってしまうという方は少なくありません。 まずはお子さまの考えに耳を傾けつつ、希望している企業の働き方や採用手法、今後のキャリアプランについて理解を深めてみてはいかがでしょうか。
この記事では、保護者世代と子ども世代の就職環境の違いや、お子さまの就職活動をどうサポートすればよいかについて解説しています。お子さまの就職活動への関わり方について知りたい方はぜひご覧ください。
「子どもが就職したい企業」と「保護者が子どもに働いてほしい企業」のギャップ
お子さまと同じ目線で就職活動について会話するにあたっては、現代の若者がどのような企業に就職したいと考えているのか理解を深めることが重要です。「子どもが就職したい企業」と「保護者が子どもに働いてほしい企業」には、どのようなギャップがあるのでしょうか。
「大学生就職企業人気ランキング」から見る子どもが働きたい企業
まずは「2025年卒大学生就職企業人気ランキング」から、子どもが働きたい企業の傾向を見ていきましょう。
順位 | 文系 | 理系 |
---|---|---|
1 | ニトリ | ソニーグループ |
2 | みずほフィナンシャルグループ | 味の素 |
3 | 伊藤忠商事 | KDDI |
4 | 三菱UFJ銀行 | Sky |
5 | 味の素 | パナソニックグループ |
6 | 東京海上日動火災保険 | 三菱重工業 |
7 | 日本航空(JAL) | NTTデータ |
8 | セガ | キヤノン |
9 | JTBグループ | セガ |
10 | バンダイ | トヨタ自動車 |
文系総合ではニトリが2年連続首位を獲得し、2位にみずほフィナンシャルグループ、3位に伊藤忠商事がランクインしました。このほか8位にセガ、10位にバンダイとゲーム関連企業もランクインしました。
理系総合では1位がソニーグループ、2位が味の素、3位がKDDIでした。また4位にSky、7位にNTTデータが入りました。IT関連の需要の高まりが続く影響から、情報技術に強みを持つ企業もランクインしています。
こうした結果から、各業界を牽引している名のある企業であることや経営基盤が安定していることなどが支持されていると考えられます。
また、ニトリやセガ、バンダイのように日々の生活や趣味に密接した企業も人気が高いことがうかがえます。その他にも、SkyやNTTデータのように高い技術を持ち成長性のある企業も人気があり、専門的なスキルを身に付けたいと考えている学生もいると考えられます。
「マイナビ・日経 2025 年卒大学生就職企業人気ランキング」調査概要
調査期間 : 2023年10月1日~2024年3月17日
調査対象 : 2025年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生(調査開始時点)
有効回答数:39,225 名(文系男子 12,526 人、文系女子 16,100 人、理系男子 6,839 人、理系女子 3,760 人)
参考・引用:マイナビ「【マイナビ・日経】2025年卒大学生就職企業人気ランキング」
保護者が考える「子どもに働いてほしい企業」ランキング
次に「2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」から、保護者が子どもに働いてほしい企業のランキングを見ていきましょう。
順位 | 企業名 |
---|---|
1 | 公務員 |
2 | トヨタ自動車 |
3 | 伊藤忠商事 |
4 | ソニー |
5 | NTT(日本電信電話) |
6 | 三菱商事 |
7 | 任天堂 |
8 | グーグル |
9 | 全日本空輸 |
10 | アマゾン |
10 | キヤノン |
10 | パナソニック |
10 | 味の素 |
1位に公務員、2位にトヨタ自動車、3位に伊藤忠商事、4位にソニー、5位にNTTと続きました。また、8位にグーグル、10位にアマゾンと外資系企業もランクインしています。
学生の人気企業上位10社と比較すると、伊藤忠商事やソニー、トヨタ自動車など共通する企業は見られるものの、上位10社を見てみるとより安定性や社会的信用を重視している傾向が読み取れます。
実際、「子供が入社する企業にどのような特徴があるとよいか」を調査したところ、最も多かった回答は「経営が安定している(48.6%)」でした。
また、グーグル、アマゾンなどの外資系企業や世界各国に拠点がある企業も保護者層から支持されています。そのため、「子どもにもグローバルで活躍してほしい」、「国際的な企業に就職したほうが将来が安心」と思う保護者も多いと考えられます。
こうした結果からも、保護者としては「長く安定して働けそうか」を重視していることがうかがえます。
「2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」調査概要
調査期間 : 2024年1月11日~2024年1月12日
調査対象 : 株式会社クロス・マーケティングのモニターで以下の子供を持つ保護者を対象有効回答数:1,000名(父親500人、母親500人)
参考・引用:マイナビ「2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査 」
保護者世代とはこんなに違う?最近の労働環境
現在の子ども世代と保護者世代とでは労働環境も大きく変わりました。どのように変化したか、ここでは3つに分けて解説します。
働き方が多様化している
まずは、保護者世代と比べて働き方が多様化していることが挙げられます。最近では、就職以外にも特定の企業に属さないフリーランスや起業などを選ぶ方もいます。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに普及したテレワークや時短勤務、時差出勤、フレックスタイム制度(定められた総労働時間のなかで個人が就業時間を決められる制度)を導入する企業もあり、個々のライフスタイルに合わせた働き方が可能になりつつあります。
このように、「保護者世代と比べると働き方が多様化している」という背景もあわせて、お子さまの就職活動について考えていく必要があります。
新卒採用の手法や進め方が変化している
保護者世代の新卒採用では、企業が就職情報誌や大学の就職課に求人を掲載し、それを見た学生が応募して選考を受けるという方法が一般的でした。
しかし現在は、就職情報サイトや自社のホームページなど、企業が情報を公開・掲載するプラットフォームが多様化しています。また、企業は自社への関心を高め、理解を深めてもらおうと、インターンシップやキャリア関連のイベントを積極的に開催し、学生との接点を増やそうとしています。
さらに、学生一人ひとりをより深く理解してマッチングの精度を高めるために、選考方法も多様化しています。例えば、企業によっては適性検査ツールの利用や独自のES(企業が選考で使用する書類)の提出などを学生に求めているところもあります。他にも、若手社員と話せる面談機会を設けるなど、さまざまな工夫がおこなわれています。
こうした取り組みにより、学生にとっては企業と気軽に接点を持てるようになり、企業への理解を深める機会も増えています。一方で、学生自身も企業に自身を理解してもらうために、自己分析や仕事に関する情報の収集などの必要性が高まっています。
転職が一般的になりつつある
従来の日本社会では、新卒で入社してから定年退職するまで1つの会社で勤め上げる終身雇用が一般的でした。しかし、現在では若年層を中心に転職が一般的になりつつあります。
実際、大学卒業後3年以内の離職者は、ここ25年ほどは3割程度で推移しています。景気の波や社会情勢の影響があったとしても大きく離職率が変わらないことから、早い段階から転職することを視野に入れている若年層が一定数いることがわかります。
マイナビ転職が2024年4月に入社した新卒社員を対象におこなった「新入社員の意識調査」で、「今の会社で何年くらい働く予定か」を尋ねたところ、「3年以内」と答えた人は25.9%でした。
また、「今の会社で長く働きたくない理由」としては、「ライフステージに合わせて働き方を変えたいから(30.3%)」が最多で、次いで「給料が低いから(27.8%)」、「色々な会社で経験を積んでいきたいから(20.0%)」と続きました。
このように、「1つの会社にこだわらず、自分の生活を大事にしながら仕事をしたい」という考え方が若年層を中心に広がりつつあるのも、雇用の流動化が進む要因と考えられます。
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」
参考・引用:マイナビ転職「新入社員の意識調査(2024)」
子どもの就職活動に対して保護者が与える影響
お子さまにとって保護者は、長く一緒に過ごしてきた身近な存在です。そのため、お子さまにとって、保護者は就職活動について気軽に相談できる存在ともいえます。
一方で、保護者の意見が、時にお子さまの意向を変えてしまうほどの強い影響を与えることもあります。実際に、「マイナビ 2022年卒大学生活動実態調査(9月)」で「内々定先企業について否定的な意見・反対を受けたことがあるか」について学生にたずねたところ、27.7%の学生から「否定的な意見・反対を受けたことがある」という回答が寄せられ、その相手として「父親・母親」が最多でした。
さらに否定的な意見や反対を受けた学生の約3割が、結果として「内々定を辞退した」と回答しています。保護者からの反対が自分と向き合うきっかけになった学生もいれば、保護者の承諾が得られないなら入社を断念するのもやむなしと考える学生が一定数いることがうかがえます。
お子さまの就職活動に向き合い、ともに歩もうとすることは決して間違いではありません。しかし、自分の意見や希望がお子さまの意思決定に対して影響を与える可能性が高いことを認識し、どのように関わっていくかを慎重に考えていくとよいでしょう。
参考・引用:マイナビ「2022年卒大学生活動実態調査(9月)」
親子で違う労働環境、理解を深めてサポートするには?
ここまで、お子さまと保護者世代では労働環境に違いがあり、保護者の意見がお子さまの就職活動にプラスの影響もマイナスの影響も与えうることをお伝えしてきました。では、どのようなサポートがお子さまから喜ばれるのでしょうか?ここからは、保護者ができるサポートについて紹介します。
子どもの意見に耳を傾ける
お子さまも自分の考えを持ったうえで就職活動に取り組んでいます。そのため、頭ごなしに否定したりいきなりアドバイスをしたりするなど、保護者の価値観を押し付けていると受け取られかねない行動は控えましょう。
まずは「就職先についてどう考えているのか」「なぜその企業・業種に決めたのか」など、お子さま自身の思いを丁寧に聞いていきましょう。そのうえで、お子さまが考えて導き出した選択を保護者として尊重し、見守っていくことが大切です。
また、就職活動中はストレスが溜まりやすくなります。不安や不満、心配事や愚痴をただ聞いてあげるのも保護者としてできるサポートです。
親子で一緒に情報収集をしてみる
お子さまにとっては初めての就職活動。よくわからないまま手探りで進めているかもしれません。もし、お子さま自身が進め方に不安を感じているようであれば、一緒に情報収集したり、お子さまの志望企業について話し合ったりしてはいかがでしょうか。
特に、企業研究は取り組み方がわからず苦戦するお子さまもいます。保護者の目線で企業情報の見方を説明することは、お子さまにとって有益になるでしょう。
就職先の方向性が定まらず、悩むお子さまもいるかもしれません。そのような場合は、保護者自身のキャリアや仕事について話をしてもよいでしょう。お子さまの職業観の醸成に役立つ可能性があります。
親子で情報収集をすることは、保護者にとってもメリットがあります。情報収集に取り組むなかで、お子さまが就きたい仕事や方向性、考えを知る機会になるからです。
マイナビでは、各企業の情報や企業研究に役立つ「業界別で見る働き方データ」や、これから就職活動を始める方におすすめの「就活準備講座」などさまざまなコンテンツを用意しています。情報収集にぜひご活用ください。
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保護者対象の情報を収集する
お子さまの就活事情について理解しようと調べてはいるものの、「正しい情報がどれかわからない」「どのように調べたらよいかわからない」という方もいるのではないでしょうか。
その場合、就職活動に関する保護者向けのセミナーに参加してみるのも効果的です。大学によっては保護者対象のイベントを実施しているので調べてみてもよいでしょう。
また、マイナビ保護者サポートのような保護者向けサイトや書籍などで情報収集するのもおすすめです。お子さまの就職活動について理解を深める際は、ぜひこのような方法で情報を集めてみてください。
まとめ
現在の就職活動は、保護者の世代と大きく異なります。そのため、お子さまを取り巻く状況を理解しておくことが適切なサポートにつながります。
マイナビでは、最新の就職活動の流れや業界・企業など基礎情報はもちろん、就活準備コンテンツも充実しております。就職活動について理解を深め、お子さまの今後のキャリアを考えるきっかけとして、ぜひ一緒に見てご活用ください。
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マイナビ保護者サポートでは、お子さまのキャリア・就職活動をサポートする保護者の皆さまに有益な情報を提供しています。マイナビと併せてぜひご確認ください。