保護者のためのコラム

子どもへの就活サポート、保護者ができることは?喜ばれた例や寄り添うための心得について

保護者

子どもの就職活動をサポートしたいのですが、親としてどのようなサポートをすればよいのでしょうか。

解説者

保護者としてできるサポートには、社会人の先輩としての助言のほか、経済面や精神面でのフォロー、選考対策などが挙げられます。ただし、お子さまの自主性を育むためにも、何でも先回りしてサポートするのではなく、必要なときに手を差し伸べられるように準備をしておくことが大切です。

この記事では、就職活動中のお子さまに対して保護者ができる具体的なサポートや、サポートする際のポイントを紹介します。お子さまの不安に寄り添いながら、前向きにサポートしたい方はぜひご覧ください。

【調査結果】子どもの就職活動に保護者はどう関わっている?

保護者のなかには、お子さまの就職活動に対してどのように関わったらよいか思案している方もいるのではないでしょうか。

実際、現在の就職活動は保護者世代の就職活動と比べて、環境やスケジュールが異なるため、戸惑いを感じる方も少なくありません。また、「せっかくサポートするのであれば、子どもにとって効果的なサポートをしてあげたい」と考える方もいるでしょう。

ここからは、マイナビ保護者サポートの調査結果をもとに、保護者がお子さまの就職活動にどう関わり、サポートしているのか紹介していきます。

参考・引用:マイナビ保護者サポート「就職活動中の大学生・社会人1年目の子を持つ保護者調査」(2024年8月実施)

子どもの就職活動をサポートしたきっかけ

「お子さまの就職活動でサポート・働きかけをしたきっかけ」を聞いたところ、以下の結果となりました。

サポートしたきっかけ割合(n=607)
あなた自身が必要だと思った66.7%
お子さまに頼まれた23.1%
周りの話を聞いた14.3%
セミナーを聞いた2.3%
その他3.6%

最多は「自身が必要だと思った(66.7%)」で、「お子さまに頼まれた(23.1%)」、「周りの話を聞いた(14.3%)」と続きました。
ここから、お子さまの就職活動のサポートが必要だと自ら判断して行動に移す保護者が多いことがわかりました。

では、どのような理由や思いでお子さまと関わっているのでしょうか。ここからは、その理由や思いをいくつかに分けて解説していきます。

子どもの将来への心配

まずは、「子どもの将来が心配」という思いから、保護者としてサポートの必要性を感じていることが理由に挙げられます。
具体的には、就職活動に励むお子さまに対して「子ども自身が希望する職業に就いてほしい」「親としてできることは少ないが、頑張っている子どもを励ましたりねぎらったりしたい」といった声が聞かれました。

また、「自分自身も両親にサポートしてもらって心強かった」と自分自身の経験をきっかけに挙げている方もいれば、「ママ友の話を聞くなかで私自身が不安になった」と周りの影響を理由に挙げる方もいました。

いずれも、根底にはお子さまの将来を思う強い気持ちがあることがうかがえます。

子どもの精神的なストレスへの心配

就職活動に取り組むなかで疲れてしまったり、思うように就職活動が進まずストレスが溜まったりする学生もいます。そのため、メンタル面の心配を理由に挙げる保護者もいます。

実際、「うまくいかなかったときに気持ちの切り替えがうまくできていない様子を見て心配になった」という声もありました。

また、お子さまが実家から離れて暮らしているケースでは、「電話などでなるべく子どもの考えていることを聞くようにした」、「子どもが就職活動中に苦戦をしていて精神的に辛かったのか連絡が来た」といった声も聞かれました。

どの理由もお子さまの努力や苦労を間近で見ているからこそ、精神的な支えになりたいという思いがあると考えられます。

普段の親子関係の延長で寄り添う

近年では、友達のような気軽さで話ができる関係性の親子も見かけるようになりました。
良好な親子関係を築いている場合、お子さまと対話を重ねていくなかで自然に寄り添ってサポートすることが望ましいと考える保護者もいるでしょう。

「元々、子どもとは何でも話す間柄だったので普段の延長線上に就活があった」「日ごろのコミュニケーションをとる延長線上で就活について話し、寄り添いたいと思った」といった声が挙がりました。

「親として何とかしてあげなければ」と肩に力を入れることなく、普段の関係性から自然に関わりたい思いがあることがうかがえます。

実際にサポートしたこと

「実際におこなったサポート・働きかけの内容」を聞いたところ、以下の結果となりました。

サポートしたこと割合(n=1,186)
社会人としてのアドバイス26.3%
金銭面のサポート20.7%
精神面のサポート17.6%
就職活動に関する情報収集・提供13.4%
自己分析を一緒に行う5.9%
添削や面接などの選考の練習5.1%
その他0.7%
サポート(働きかけ)はしていない48.8%

「サポート(働きかけ)はしていない」を除くと、トップは「社会人としてのアドバイス(26.3%)」でした。
社会人の先輩として、自身の経験を活かして取り組みやすいサポートであると同時に、お子さまによりよい就職活動をしてほしいという思いがうかがえます。

2位は「金銭面のサポート(20.7%)」でした。
就職活動では、何かと費用がかかります。お子さま自身で資金を工面しようとしても、就職活動が本格化するとアルバイトに充てられる時間も限られます。

特にお子さまが一人暮らしをしている場合、金銭面に加えて元気に就職活動に取り組めているか、状況を把握しづらいこともあります。
そうしたなかで、金銭面でのサポートには「子どもに安心して就職活動に励んでほしい」という保護者の願いが込められているといえるでしょう。

3位は「精神面のサポート(17.6%)」でした。
初めての就職活動でプレッシャーからストレスを感じたり、思うような結果が出ず落ち込んだりするお子さまもいるでしょう。
精神的に不安定なお子さまの姿を見て、「何か力になれることはないだろうか」という親心から行動につながっていると考えられます。

一方で、半数近い保護者が「サポート(働きかけ)はしていない」と回答しました。
「子どもに任せている」「自分の進路は自分で決めるもの」と、お子さまの就職活動に対して介入しないほうがよいと考えている保護者も一定数いることがわかります。

例えば、「やりたいことがわからない」「自分に自信がない」と悩むお子さまに対して、「子ども自身が納得して動けるようにそっとしてあげた」「子どもを信頼して任せている」といったように、あえて直接的に干渉しないケースもあります。
お子さまの考えを尊重し、信じているからこそ、見守る姿勢を大切にしていると考えられます。

サポートしたかったができなかったこと

「お子さまの就職活動でサポート・働きかけをしたかったができなかったこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。

サポートできなかったこと割合(n=1,186)
添削や面接などの選考の練習26.3%
就職活動に関する情報収集・提供12.7%
自己分析を一緒に行う10.2%
精神面のサポート8.9%
社会人としてのアドバイス8.8%
金銭面のサポート5.0%
その他2.4%
サポート(働きかけ)はしていない56.6%

「サポート(働きかけ)はしていない」を除くと、最多は「添削や面接などの選考の練習(12.9%)」でした。そして「就職活動に関する情報収集・提供(12.7%)」「自己分析を一緒に行う(10.2%)」と続きました。

「添削や面接などの選考の練習」は、保護者が「選考の練習を手伝いたい」と思っても、そのノウハウを詳しく知らないため、サポートしたくてもできなかったことが理由として考えられます。

例えば、お子さまから面接官役を頼まれたとしても、どのように対応すればよいか戸惑う保護者も少なくないでしょう。また、近年の履歴書やエントリーシート(ES)の書き方を詳しく知らないため、添削に自信が持てないというケースも考えられます。

「就職活動に関する情報収集・提供」に関しては、インターネットで就職活動について調べるにしても情報が多く、保護者自身が情報の取捨選択に悩んでいた可能性があります。また、保護者として情報収集をしているとはいえ、それをどのようにお子さまに伝えたらよいかわからないという理由も考えられます。

「自己分析を一緒に行う」ことも、ノウハウがない・やり方がわからないと難しく考えてしまい、十分にサポートできていないことが理由として考えられます。

また、お子さまの性格をよく知っていると思っていたとしても、一面しか見えていない可能性があります。そのため、押し付けがましい表現になってしまったり、お子さまの友人のアドバイスのほうが的確だったりすることもあります。
さらに、お子さまの魅力や長所短所、行動の傾向などを知っているものの、それらをうまく言葉にして率直に伝えることができなかったというケースもあるかもしれません。

子どもに喜ばれたサポート

続いて、「子どもに喜ばれたサポート」について保護者の声をもとに5つの例を紹介します。

子どもにとっての心のよりどころになる

お子さまに喜ばれるサポートとして、まず「心のよりどころになるような関わり方」が挙げられます。就職活動は常に順調に進むとは限らず、ときには望む結果が得られずに落ち込んでしまうお子さまもいます。

そうしたときに、自宅でゆっくり過ごせる環境を整えることが、結果的にお子さまの支えとなるケースも多いようです。

具体的には、「子どもが食べたいと言っていた食事を用意する」「サプライズで子どもの好きな食べ物を買っておく」などさりげない気遣いをするほか、プレッシャーをかけないように意識した声掛けや気分転換のために一緒に外出するなど、心の安定化を図る取り組みをおこなう方もいます。

保護者としては、ついあれこれと聞きたくなる場面もあるかもしれませんが、ぐっとこらえて見守る姿勢も大切です。
「自分で決めようとしていることに対しては、自信を持てるように支える」といった関わり方もお子さまにとっては心強い支えとなるでしょう。

必要に応じて金銭的な援助をする

「必要に応じて金銭的に援助する」こともお子さまに喜ばれるサポートの一つです。

コロナ禍以降、オンラインでの説明会や選考を実施する企業が増えたことで交通費の負担は減ったものの、依然として就職活動にはさまざまな費用がかかります。
具体的には、スーツや靴、カバン、通信費などが挙げられます。

さらに、学生によっては部活動などの理由でアルバイトができなかったり、就職活動が本格化してからは選考の準備に追われてアルバイトの時間が取れなくなったりすることもあります。

そのため、就職活動にかかる費用を保護者が支援することで、お子さまは金銭的な不安を感じることなく、安心して目の前の就職活動に臨めるのではないでしょうか。
「お子さまの意思を尊重しながら、必要な場面では経済的に支援する」という姿勢が喜ばれるのかもしれません。

お子さまの就職活動に対する保護者の金銭的サポートについては、以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。

一緒に選考対策をおこなう

就職活動が本格化すると、多くの学生はESの作成や提出のほか、面接の準備などで忙しくなります。お子さまが普段から大学のキャリアセンターなどを利用して選考対策に取り組んでいても、選考が近づくにつれて焦りは募っていくものです。

そのようなときに、保護者が一緒に選考対策をおこなうこともお子さまにとっては支えになるでしょう。

例えば、お子さまの長所短所について一緒に整理したり、業界や企業について調べたりすることも効果的です。
また、ESや履歴書提出の締め切りが迫っている場合は、第三者の視点でおかしな日本語がないかを確認・添削したり、面接の前には保護者が面接官役を担当して模擬面接をおこなったりするのもよいでしょう。

とはいえ、選考対策のサポートは保護者にとって難易度が高いと感じている方も多いかもしれません。そのためにも、あらかじめ選考のプロセスを理解しておくとともに、近年のESの書き方や面接の特徴について調べておきましょう

ただし、意気込んで保護者主導にならないことが大切です。

過干渉にならない適度な距離感で接し、お子さまから相談されたら身近な理解者として協力できるように、準備をしておくとよいでしょう。

マイナビでは選考対策のためのさまざまなコンテンツを用意しています。ぜひお子さまと一緒に取り組んでみてください。

保護者が選考対策をサポートする際のポイントについては、以下の記事で詳しく紹介しています。併せてご覧ください。

社会人の先輩として助言する

保護者の皆さまは、お子さまにとって身近な社会人の先輩でもあります。
その立場から助言することも、お子さまにとって心強く、喜ばれるサポートの一つといえるでしょう。

例えば、面接後に送るメールの書き方、電話応対のマナー、面接での基本的な言葉遣いなど、ちょっとしたビジネスマナーを教えるだけでもお子さまにとっては大きな助けになります。

また、仕事のやりがいや魅力、仕事を通じて得られた出会いや発見などを社会人としての視点から伝えることも、お子さまの不安を和らげる効果が期待できます。

企業や制度に関する情報を提供する

お子さまは就職活動を通じて、自分なりに社会や企業のことを理解しようと努力しています。しかし、企業の特徴や業界の仕組み、仕事に関する制度に関しては、難しく感じてしまうことも少なくありません。
そのようなときに社会人の知識や経験をもとに、情報をわかりやすく伝えることも、保護者にできるサポートの一つです。

例えば、保護者自身が勤務している(勤務していた)会社の福利厚生に関する情報や、健康保険制度・年金制度といった社会保障制度に関する情報を提供するというサポートが考えられます。また、保護者自身が経験した職務に関する情報もお子さまにとっては、企業で働く解像度を高めるきっかけになるかもしれません。

他にも、お子さまから特定のワードについて聞かれたときに、保護者として分かりやすく説明してあげたり、もし詳しく知らない場合も参考となるWebページなどを一緒に見たりするのもよいでしょう。

こうした、お子さまが将来のことを考えるにあたって、保護者自身の経験を一つの例として伝えることで、お子さまにとっても理解を深めたり、視野を広げる助けになるでしょう。

就職活動に関する情報を収集する際のコツについては、以下の記事で詳しく紹介しています。併せてご覧ください。

子どもへの就職活動サポート、寄り添うための心得とは?

お子さまの就職活動をサポートするにあたり、保護者はどのように寄り添えばよいのでしょうか。ここでは、4つのポイントを紹介します。

子どもと同じ視点で就職活動を知る

お子さまに寄り添った就職活動のサポートをするためには、お子さまと同じ視点で就職活動を知っておくことが大切です。

現在の就職活動の進め方やスケジュールは、保護者世代とは大きく異なっています。
例えば、現在では企業情報の収集は主にマイナビなどの就職情報サイトを通じてインターネット上でおこなわれ、エントリー(企業に興味があるという意思表示)もオンライン上でおこないます

また、就職活動のスケジュールに関しては、会社説明会をはじめとした企業の広報活動が大学3年生の3月1日から始まり、その後面接などの選考がおこなわれるというのが一般的な流れです。
さらに、近年では大学3年生の夏や冬に「インターンシップ&キャリア」に参加し、自己理解や仕事理解を深めようとする学生が増えています。それにともない、低学年のうちから就職活動の準備を進めている方も少なくありません。

お子さまと会話するなかで就職活動のどの段階にいるのかがわかれば、保護者としてもより適切なタイミングでサポートしやすくなります。こうした情報を細かく把握しておく必要はありませんが、全体像をざっくりと把握しておきましょう。

お子さまに対して効果的なサポートができるように、まずはマイナビで情報収集してみてはいかがでしょうか。ぜひ以下の記事もご覧ください。

必要なときに子どもに手を差し伸べる

よかれと思ってサポートをしても、ときにはお子さまにとってプレッシャーになったり、焦らせてしまったりする可能性があります。
例えば、丁寧にアドバイスしようとしたつもりでも、細かく言いすぎてしまい、かえってお子さまを悩ませてしまうこともあるでしょう。

また、顔を見たときについ「どのぐらいまで就職活動が進んでいるのか」「何社ぐらいエントリーしたのか」などと聞きたくなるかもしれません。
お子さま自身がすでに焦りを感じている場合、周りから頻繁に声をかけられることでさらに焦りや不安が募ってしまうこともあります。

お子さまにとっては初めての就職活動であり、保護者の目から見たら準備不足や遅れが気になり、つい先回りしてサポートしたくなる気持ちは自然なものです。

だからこそ、普段は適度な距離感を保ちつつお子さまを見守ることが大切です。
そして、お子さまが困ったり悩んだりしたときに、さっと情報提供やサポートができるように準備しておくようにしましょう。

お子さまとのコミュニケーション方法として、最近では「コーチング」の考え方も注目されています。コーチングとは、保護者が考えや方法を一方的に教えるのではなく、お子さまの主体性を尊重しながら考えや気持ちを引き出す関わり方です。

親子のコーチングについては、以下の記事で詳しく紹介しています。併せてご覧ください。

子どもの主体性を大切にする

保護者の皆さまがお子さまの就職活動をサポートしようと考えるきっかけの多くは、「子どものために何かしたい」という思いからではないでしょうか。
お子さまが就職活動に取り組む姿を見ると、心配になったり、役に立ちたいと思ったりと気持ちが動くものです。

しかしその思いが強くなってしまうと、つい自分の意見を押し付けてしまったり、過干渉になってしまったりする可能性もあります。

一方で、就職活動はお子さまが社会人になるための大切なプロセスです。選考が思い通りに進まないことがあるかもしれませんが、その経験を踏まえて「なぜうまくいかないのか」を自ら考えて行動することが、確かな成長につながっていきます。

そのため、お子さまの気持ちや価値観を尊重しつつ、主体性を大切にしながらサポートすることが大切です。
仮にサポートする場合でも、保護者の価値観は押し付けず、最終的な判断や意思決定はお子さまにゆだねるようにしましょう。

長期的な視点で子どもを見守る

お子さまにとって就職活動は決断の連続です。
うまくいくこともあれば、結果がともなわないこともありますが、そのプロセスすべてがお子さまにとって自己成長につながる貴重な機会です。

保護者にとっては、選考で通過したかどうかや、内定を得られたかといった目先の結果が気になってしまうでしょう。しかし、お子さまが自身の力で今後のキャリアを切り開いていくためには、焦らずに長期的な視点で見守っていくことが重要です。

まとめ

就職活動を頑張るお子さまのサポートをしたいと思う方も多いかと思います。
サポートするなかで、あれこれと気になるかもしれません。しかし就職活動はお子さまが自らのキャリアを築く大切なプロセスでもあり、成長の機会でもあります。

お子さまの主体性を尊重して見守りながらも、困ったり悩んだりしたときにさっと手を差し伸べられるように準備しておくことが大切です。寄り添ったサポートを心がけていきましょう。

マイナビでは、就職活動の選考対策や業界・企業に関するさまざまな情報を提供しています。お子さまをサポートする際には、ぜひご活用ください。

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